p>前回の「MBD 導入における 10 の注意点 – 設計部門のみにとどめない」では、表 1 の「人」の要素、つまり本シリーズの第 1 章が完結しました。今回は第 2 章の「プロセス」に入り、特に手法、手順、ツールについて解説します。最初の注意点は「進捗を評価する」です。

表 1: MBD 導入における 10 の注意点

導入推進チームや経営幹部にとって情報の明確化は不可欠です。進捗を測ることで、多くの疑問が解き明かされます。

• 3 次元プロセスにより、どれくらいの時間と費用が削減されたか?
• 削減率が高かった(または低かった)手順はどれか? その理由は?
• 改善が見られなかった手順はどれか? その理由は?
• どのようなプロジェクトで顕著な成果が得られたか(または得られなかったか)? その理由は?
• どのチームやサプライヤーがスムーズに順応したか(または順応しなかったか)? その理由は?
• ボトルネックはどこか? その理由は?
• 全参加者からどのようなフィードバックがあったか?
• 次の導入フェーズでは、人、プロセス、製品のそれぞれで何を改善すべきか?

こうした評価を行うと、一般的な反対意見にも対処しやすくなります。信頼できるデータの提供は、恐怖、不安、疑念(FUD)に応える最良の手段なので、抽象的な不平不満を即座に収めてくれるでしょう。また、着実な前進がデータとして表れた場合、自信が深まり、支持が集まり、今後の資金や資源を確保しやすくなります。理想通りの結果が出なかった場合でも、そのデータはボトルネックや根本原因の究明に役立ちます。

MBD 導入の成否を評価する方法
それでは、進捗の測り方を見ていきましょう。初めに基準値を設定します。現状はどうなっているか。各手順で資源、時間、資金をどう使っているか。現在の重要課題は何か。その課題は数値的にどう影響しているか。現在のこうした基準値をベンチマークにして、今後の導入結果と比較していくことになります。

すでに組織内に評価の仕組みがあれば完璧です。仕組みがない場合は、今から作ればよいのです。まずは小規模なプロジェクトを 2 つ選びます。比較的独立性が高く、似通ったプロジェクトを選びましょう。一方は対照サンプルとして従来の 2 次元図面プロセスで進め、もう一方は MBD アプローチで進めます。そして、設計、操作方法定義、加工、調達、ツーリング、組立、検査、パッケージ、ドキュメント化、販売、サポートまで、プロセス全体の各段階における時間、費用、資源、品質を比較します。このように同一条件下で比較すれば、順調な部分と改善を要する部分を徹底的に解明することができます。

また、アンケート調査もツールの一種です。MBD の参加者に対して定期的に調査を行い(四半期や 1 年に 1 回)、フィードバックを収集したり、変化を追跡します。異なる時点間で厳密に比較できる回答を得るためにも、調査の実施時には毎回同じ質問を使用してください。

組織で MBD の認定資格を整備して、さまざまなチームの参加者の能力を評価するという方法もあります。認定制度はインセンティブや報奨であると同時に、専門性の指標や名誉の象徴にもなります。例えば、GE はシックス・シグマのブラックベルト、シスコはネットワーク技術者認定を導入しています。資格取得者が一定数に達すれば、資格取得数、合格率、種別、レベルなども進捗を測る基準に加わります。ご参考まで、MySolidWorks では 10 種類の MBD 学習コンテンツ(英語)を無料で提供しています。アカウントをお持ちの方は誰でも、3 時間以上の動画、操作演習、確認テストに加え、SOLIDWORKS のサンプルファイルを無料でご利用いただけます。

企業全体の評価については、アメリカの国立標準技術研究所(NIST)がメーカーとサプライヤー向けの評価ツールを公開しています。下図に、浅い階層の主なポイントを抜粋しました。ジオメトリ以外の製品定義、データの関連付け、品質、設計変更、技術データの受け渡しなど、より深い階層の詳細は NIST のウェブサイトをご確認ください。ちなみに、3 次元モデルを原本として受け渡し、便宜的に 2 次元図面を利用している場合、その組織はレベル 3 のモデルベース定義に限りなく近付いているのですが、すでに SOLIDWORKS ユーザーの約半数が日常的にそうしているようです(情報元: SOLIDWORKS 顧客ベース調査、2015 年、サンプル数: 524)。

今回は MBD 導入の第 2 章「プロセス」の第 1 回として、進捗の評価について考えてみました。次回の「2D 図面をマスターとして頼らない」では、モデル中心型という点をさらに掘り下げます。SOLIDWORKS MBD についての詳細は SOLIDWORKS MBD 製品ページをご確認ください。また、Twitter (@OboeWu)あるいは LinkedIn (OboeWu)でのディスカッションにもご参加ください。

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吉田 聡

吉田 聡

マーケティング部 ポートフォリオ イントロダクション スペシャリスト


Categories: SOLIDWORKS JAPAN, SOLIDWORKS MBD

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