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わぁ、ゴキブリだ、と思った。飛行をコントロールする機械(電子回路ユニット)が取り付けられた昆虫*を、つい最近テレビで見た。衝撃的だった。「サイボーグ」、という言葉が、戦争のための人間兵器として改造されたマンガの主人公に重なった。御幣があるかもしれないが大好きな人はそう多くはないだろうゴキブリが、そこまでして人間のためにつくしてくれるのか。。。と複雑な気持ちだった。そして今でも制御装置を取り付けられたゴキブリの映像が目に焼き付いている。無線で昆虫に命令を送り、それが電気信号として昆虫の脳や神経などに送られることによって、羽や足の筋肉を動かすという技術。昆虫の飛行メカニズムの解明と、それをコントロールするシステムの研究と開発による賜物であることは言うまでもない。飛行の開始・停止、上昇・下降、左右への方向転換、円を描いて飛ばすこともコントロールできるらしい。ロボットだと思えば何ともない。ドローンをもっと小さくすればできるじゃないか、とも思う。しかし、機械を飛ばすには、航空力学が通用しなくなる、いわゆるうまく飛ばせないという限界が研究を遅らせ、なにより滞空時間の制約が大きそうである。そこで、飛び回れて、エネルギー効率も高い、昆虫の背中にカメラなどを取り付けて、その飛行をコントロールする「サイボーグ昆虫」の研究が始まったようである。

アメリカでは、超小型、ハエやハチ型ロボットの開発が進んだ。2018年、米ワシントン大学で研究されたハエ型ドローンは、世界最軽量のワイヤレス給電型ドローンとして注目を浴びた。その重さはわずか190ミリグラム。サイボーグ昆虫の研究に使用された固体は、約6.0cmのマダガスカルゴキブリなので、凡そ25gから30gとみられ、ハエ型ドローンに比べてかなり重い。ハエ型ドローンが、小型の光電池に不可視光レーザーを照射して光を電力に変換し、出力される約7ボルト程度の電圧を飛行に必要な240ボルトにまで増幅させて昆虫の自律飛行のための動力源を出力するのに対し、サイボーグ昆虫は、装着された超薄型有機太陽電池モジュールによって10mW (わずか1V相当の電圧で出力可能) の出力を達成し、充電することで無線移動制御モジュールの操作にも成功したという。エネルギー効率の差は歴然である。面白いことに、ドローンを開発するワシントン大学も、2020年には、ワイヤレス小型センサーを昆虫に付けて飛ばしている。ハエ型ロボットを飛ばしたわずか、2年後である。昆虫が背負うことのできる重さ約250mg、トランプ1枚の10分の1程度の重さの超小型軽量カメラを開発したのだ。まさに、エネルギー効率の方が重視された証拠であろう。

サイボーグ昆虫の開発に携わった シンガポール南洋理工大学 准教授 佐藤 裕崇氏は、電気化学を学び、自分の得意技術を「めっき」という人物である。佐藤氏は、さらなる分野「バイオ燃料電池」の研究も手掛けている。動物の体液や果物の果汁に含まれる糖を使って発電するそうだ。身の回りにある振動や熱などを電気に変える「エネルギーハーベスティング」が、未利用エネルギーとして注目されているが、振動や太陽光を使った発電装置は構造が複雑で小型化に向かない。小さな電力を集めて大きくするほうが、現実的なようにも思える。いずれにせよ、限りある資源を効率良く使うための工夫は、機械の肝であることに変わりはない。

*参考資料:生きたゴキブリを「サイボーグ昆虫」に 理研、災害現場などで活用期待 【引用元:9/16 YAHOO!ニュース】

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Kategorie: コラム

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